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2016.3/21~25 さらば時刻表 第二章 国際都市高山(前編)

第二章 国際都市高山
 2016.3/22朝、私は六時過ぎに目を覚ました。昨日コンビニで買っておいた朝食をとり、身支度を整えてから名古屋駅へと足を運んだ。名古屋駅に着いたのは、7:20頃だっただろうか。

 これほどまでに遅い出発は珍しい。だがそれも、特急ひだ1号高山行きの名古屋駅出発時刻が、7:45などというたるんだ時刻なのがいけないのだ。時刻表には、朝の六時台に出発する臨時の特急ひだ号が記載されているが、この日は運行されない。ということで、この朝遅い出発はどうにも気に食わなかったが、結局打開策は何もなかった。

 適当にやってくる列車を撮影していると、昨日きしめんを食べる直前に見たセントラルライナー車両や、関西本線の普通桑名行きといった、これまでなかなかお目にかかれなかったものを見られた。

 朝七時過ぎの特急ひだ1号で、しかも高山まで行くというのは、鉄道ファンというよりただの観光客の気分だ。朝一番で富山まで行ってくれたらいいのに、と思う反面、それでは北陸観光フリーきっぷを使いこなしている気分にはなれない。折角高山で途中下車できるのだ。その効力はやはり活かしたい。

 朝一番の特急ひだ号だから、予想通り関西本線で見た車両基地からキハ85系が姿を現した。朝の名古屋駅に、カミンズエンジンの重低音が響き渡る。
特急ひだ1号名古屋

 相変わらず指定席の客は多いが、窓側を陣取った私の隣に、乗客はいなかった。今回も幻のワイドビューチャイムを期待したが、やはり名古屋出発時には流れなかった。

 立山黒部アルペンルートや黒部峡谷鉄道に行って以来、私は河川の利用により一層興味を持つようになった。そのせいか列車が飛騨川に沿って走っているとき、ダムが目に付いた。すかさず持参した地図帳を開くと、周辺に発電所がある。水力発電はかつて日本で最主流の発電方式であっただけに、今でも山河あるところに発電所有り、という構図は変わらない。

 高山本線に乗り通すのはもうこれで四回目であるから、車窓に大きな発見はなかった。しかし、列車が高山駅の一つ手前、飛騨一ノ宮駅の直前で急激な右曲線に突っ込んだのには、驚きを隠せなかった。地図帳を見ると、確かに高山の少し前で線路が急激に曲がっている。しかも直角どころか、進行方向がひっくり返っている。並行する益田街道も同様に180°のUターンをしているから、道路と鉄路を建設する際、ここには何か已むにやまれぬ事情でもあったのだろう。

 飛騨一ノ宮駅を過ぎるともはや高山駅は目の前にある。ワイドビューチャイムを録音する準備をしていた私の目に、前方から雪山の姿が近づいてきた。今年は私の人生二十年で最大の暖冬であったが、それでもこのあたりの山脈には残雪が見られる。方角から察するに、飛騨山脈であった。そしてこの瞬間から、何日にもわたる飛騨山脈との付き合いが続く。

 高山到着のワイドビューチャイムは、通常のものだった。それが日常なのだから、別に文句はない。むしろ高音版が流れない方が、前回の思い出が際立ってよい。

 改札を通り抜け、まずはプレハブの待合室に入った。すぐ右にコンビニがあって、みたらし団子も売っている。香ばしい醤油の香りがたまらない。

 だが、焦ることはない。みたらし団子はこの後どこでも売っている。それよりも今の私に必要なのは、新幹線の乗車券と自由席特急券である。

 時刻表を見ると、高山駅にはみどりの窓口、いやJR全線きっぷうりばがあるという扱いである。確かに、待合室に入って直進すると、素っ気ない空間に窓口氏が二人いて、客の対応をしている。既に二人ほど並んで待っていた。

 高山駅のきっぷうりばはかように使いづらい。何せ客が多いのに窓口氏が二人しかいないのだ。昨年ここで特急ひだ36号のきっぷを買おうとして、待ち客の多さに挫折したことは、旅行記『国鉄色に命を託した』で述べた通りだ。

 しかし、今回はきっぷの購入を後回しにはできなかった。昨日から新幹線のきっぷをどの時点で購入するか考えていたのだが、結局高山駅で買うより他はなかった。

 こうして窓口で待っていると、行列を作っている原因は窓口氏ではなく、乗客側にあるのだと改めて思う。窓口に来て初めて、自分の乗る列車について考え始めるのだ。指定席、自由席のどちらにするかをまだ決めていない、という者もいれば、そもそもどんな列車に乗ればいいのかすらわかっていない者までいる。

 堅気の衆の鉄道利用について文句を言える立場ではないのだが、窓口の利用作法については、鉄道ファンも堅気もない。私のように全て予習して、完璧な状態で窓口を訪ね、滞在時間を極力短くするのが人として当然の振る舞いではないのだろうか。インターネットがどこでも見られるこのご時世、パソコンや携帯電話で時刻検索を済ませてから窓口を訪ねるのが、最低限の作法だろう。

 十分ほど待っただろうか、窓口に通された私は、北陸新幹線黒部宇奈月温泉~糸魚川間の乗車券と自由席特急券を往復で求めた。そして窓口氏がきっぷを出力し、それを手にした私が窓口を辞すまで、五分とかからなかった。

 北陸観光フリーきっぷが、北陸新幹線開業に伴ってその効力を強化したことも以前述べた。しかし、肝心の新幹線利用可能区間については述べていなかったからここで補足しておく。新幹線については、金沢~黒部宇奈月温泉間の自由席が利用し放題である。恐らく、北陸本線の利用可能区間の東端が黒部駅であることに対応しているのだろう。従って、黒部宇奈月温泉~糸魚川間に乗りたい私は、追加料金を払う羽目になった。

 きっぷを購入した私は、すぐさま南に向かって歩き始めた。昨年は時間が足りないと見越して、来訪を諦めた場所にこれから向かうのだ。予め高山駅からの直線距離を測っておいたが、2km弱はあった。だから道路を歩いていけば、片道2kmを超えるから、所要時間は私の足で二十五分と見積もった。往復で一時間弱使ってしまうのは惜しい気がする。

 黙々と歩き、突き当たりで右折して陸橋を渡る。この陸橋は高山本線を跨ぐ爲のものだから、右向け右をすれば高山駅がよく見える。私が乗ってきたキハ85系が、束の間の休息をとっていた。

<<中編に続く>>
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プロフィール

こだま827号

Author:こだま827号
職業:大學生 醫學部醫學科
趣味:鉄道旅行、旅行記執筆、音楽、写真撮影、動画制作、醫學研究
好きな作家:宮脇俊三、笹沢左保、上野正彦
愛読書:JTB時刻表

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