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2016.3/21~25 さらば時刻表 第三章 憎き新幹線

第三章 憎き新幹線
 金沢行きの電車には高岡まで乗った。富山~高岡間の通過利用なら青春18きっぷでできるから、北陸観光フリーきっぷの本領発揮というわけではない。車内を見ると、転換クロスシートはほぼ埋まっていて、JR時代と変わった様子はない。むしろそれが当然であろう。この区間をJR西日本が手放す必要はなかったのではないだろうか。そしてそれは、これから先で嫌というほど抱く感想である。

 高岡で降りて、やや離れた城端線乗り場に移る。初めて城端線に乗るのだが、城端まで行くのは明日にお預けである。城端線のキハ40系も、学校帰りの学生で賑わっていた。

 高岡を出て二、三分で次の新高岡駅に到着する。北陸新幹線開業前は、高岡の次は二塚駅だったのだが、新幹線の新高岡駅開業に伴って新高岡駅をこの二つの駅間に作り、新幹線駅を併設させた。新幹線を高岡駅経由にするつもりは毛頭なかったらしく、当初は新高岡駅自体ももっと東に作って、城端線と連絡すらさせないつもりだったそうだ。しかしそれでは新尾道駅のように不便極まりない。地元との協議の結果、北陸新幹線が城端線と交差することを考慮して、城端線との交点に新高岡駅を作ることで合意となったらしい。

 それにしても高岡市は哀れである。北陸新幹線開業前の高岡駅は金沢・富山と全く同格の駅で、特急は全て停車した。しかし新幹線のせいで在来線特急は全廃され、おまけに新幹線の最速達列車かがやき号は、新高岡に停まらない。高岡を軽んじているのが丸見えなダイヤ改正に、高岡市民は憤怒したことだろう。

 その新高岡駅は、予想に反して一面一線の簡素な無人駅であった。接続在来線が運行本数の少ない城端線だから、確かに一面一線で十分ではある。しかし、新幹線接続駅がこのみすぼらしさでは、あまり気分が高まらない。

 在来線の駅を出て、細い道路を渡った先に新幹線の新高岡駅がある。もちろんこちらは煌びやかな有人駅で、コンビニや駅弁売り場がある。大きな待合室もあって、気合いの入りように明らかな差が見られる。入口から待合室やらコンビニやらを横目に見て歩きながら、随分改札まで距離があるなと思った。改札口まで来てわかったが、新高岡駅の主要な入口は、在来線との乗り換え口ではないようだ。

 さて、これから二度目の北陸新幹線に乗る。城端線の新高岡駅15:16着に見事に対応して、15:26発の新幹線はくたか570号東京行きがある。これで糸魚川まで行くのが、今日の任務である。
はくたか570号東京行き新高岡

 半年ぶりに北陸新幹線の乗り場へと上がった。入線前のメロディはやはり鉄道唱歌であるから、これはある程度共通性があるようだ。金沢や富山がどうなのかは知らないから、全てがそうだとは言い切れない。

 やってきたはくたか号の自由席車に入ると、前回とはうって変わってそれなりの混雑を見せていた。北陸新幹線が予想以上に好調だという収益結果は、嘘ではないらしい。やはり乗り換えなしで首都圏から富山や金沢へ(そしてその逆もまた然り)行けるようになったというだけで、堅気の衆の足は動くらしい。たかが乗り換えなしたかが一時間の時間短縮で突然客足が北陸に向くようになる、というのはまるで理解できないが、堅気の衆とは生きている世界がそもそも違うのだから、余計な詮索はやめよう。

 相変わらず新幹線の車窓はつまらない。大体の区間がトンネルか高い壁で視界を遮られているから、暇つぶしの品は必須だろう。そして前回の旅行記で文句を言っていた、あのへんてこな座席の枕も健在である。

 確かこの列車だったと思うが、富山到着時の車内チャイムで謎の音楽が流れた。とても車内チャイムには似つかわしくない、どんよりとした曲調のこの曲は、初耳であった。調べてみると、これは谷村新司氏の「北陸ロマン」という曲を原曲としているらしい。この曲は谷村氏の最近の作品らしいから、私が知らなくて当然だった。それにしてもこれはいくらなんでもひどいだろう。JR西日本の新幹線と言えば、同じく谷村氏の手に成る「いい日旅立ち」を原曲としたチャイムを使っているが、私はこれが嫌いで仕方がない。しかし「北陸ロマン」のチャイムはそれをも凌駕している。早急に改善を求む。

 左側の車窓の奥に日本海が見え始めた。いよいよ糸魚川に着くのだな、という気がどうしてもしてくる。なぜなら、糸魚川駅は北陸新幹線の中で最も海に近い駅だからだ。

 半年ぶりのホームを踏み、またもや例の待合室に向かった。アルプス口の階段を降りようとしたとき、ここがアルプス口と名付けられた理由がわかった。前回は雨で霞んでいたせいで見えなかったが、今回は視界がよく、遠くに雪を頂いた山並みを見ることができた。これはもちろん飛騨山脈である。

 キハ52系に入ったとき、前回は閉まっていて入れなかった鉄道ジオラマ展示が開放されていることに気がついた。鉄道模型には一切興味がない私だが、少し暇を持て余していたから入ってみた。するとなかなか面白い展示もあった。模型でありながら、エンジン音を出して走るキハ52系もあり、よくできているなと感心した。

 半年ぶりのジオパルを満喫し、次は日本海口から駅の外に出た。糸魚川駅での目的は二つある。一つが日本海岸にできるだけ迫ってみること、そしてもう一つが夕食である。ジオパルは別に絶対来ようと思っていたわけではない。ただ、夕食の店が開くまで時間が余ったから、自然と足が向いてしまっただけである。

 糸魚川駅がどれほど日本海に近いかというと、日本海口から400mも歩けばもうそこは日本海である。海岸線に向けて駅から一直線に道路が伸びていて、そこを歩けばあっという間に海岸線沿いの道路に着く。日本海に近いということしか調べていなかったので、海が見えるかどうかは知らなかった。この海岸沿いの車道に横断歩道がないことを発見したときは、諦めかけた。

 ところが道路の向かい側に目をやると、何やら展望台のような構造物があるではないか。そのすぐ下には地下道の出入り口があって、それに呼応する形で道路の私がいる側にも地下道の出入り口がある。なるほど、駅からすぐそばでしかも日本海に極めて近いという地の利を、観光名所として活かさないはずはやはりなかった。

 私は地下道を上り下りし、その展望台に上った。先客が一人いたのだが、私が来た途端にまるで逃げるかのようにその場を辞した。

 風が強い。海辺はいつもこうである。しかし三月の北陸だというのに風は冷たくない。もう春がすぐそばまで訪れているのを、肌で感じた。風が強いのは上空だけで、茫漠たる日本海は穏やかであった。方角的に言って、東側には佐渡島が見えるかもしれなかったが、あいにくの曇り空で視界がさほどよくなく、見えなかった。
糸魚川より日本海を望む

 それに対して、回れ右をして南側を見ると、アルプス口の窓ガラス越しよりも鮮明に、飛騨山脈が見渡せる。今見えているのは山脈の本当に終端部で、列車名の由来ともなった妙高山や、先ほど「飛騨の里」でひときわ高く見えた焼山などが見えていた。

 一箇所で山と海を両方とも満喫できるのだから、実に贅沢な展望台だった。夕日の時間に来れば、なおよかっただろう。

 四時半を過ぎたので、夕食の店に入った。糸魚川名物のブラック焼きそばを食し、店を出た頃には帰りの新幹線まで十分を切っていた。旅先で列車に乗り遅れたことは、記憶が正しければ一度もないのだが、今回はさすがに焦った。店を出て、食後だというのに小走りで駅に向かったものの、幸い側腹部は痛まなかった。

 新高岡駅に戻った上で、城端線で高岡駅に戻る。どうにも不便だ。日が暮れた車窓を見ていると、新高岡駅の目の前に大きなスーパーマーケットがあり、それなりに街も形成されていた。新高岡駅は、新岩国駅のように田んぼのど真ん中に作ったという偏見があったのだが、一瞬でそれは覆された。

 高岡駅の宿は素晴らしかった。大浴場があって、ラウンジでコーヒー飲み放題、漫画も充実していて、無料インターネットも完備してある。少し値は張ったが、それに見合っていた。昔読んでいた漫画を久しぶりに読んだり、大好きな漫画『NARUTO』を読んだりしていると、一時間ほどは過ぎていた。

<<次回に続く>>
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こだま827号

Author:こだま827号
職業:大學生 醫學部醫學科
趣味:鉄道旅行、旅行記執筆、音楽、写真撮影、動画制作、醫學研究
好きな作家:宮脇俊三、笹沢左保、上野正彦
愛読書:JTB時刻表

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