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2018.3/3-6 霧島の雄叫びに哭いた 第二十三章 シラス台地

第二十三章 シラス台地
都城行き霧島神宮駅201803

 霧島市の代表駅、国分駅に到着すると、なんと乗客の殆どが下車してしまい、ホームは人で埋め尽くされた。利用者数が鹿児島県の中で鹿児島中央駅に次いで第二位なのも頷ける。隼人、国分と主要駅が二つ続く形だが、明らかに国分駅が優位に立っている。駅周辺の賑やかさもまるで違う。またキハ40系の姿を見たが、運用まではわからなかった。留置や停泊も行っている駅だから、しばらく動き出さないと見た。

 鹿児島方面からの電車は、半数ほどが国分止まりである。その理由の一つは県境現象なのだが、県境はここから営業キロで32.7kmも離れた財部駅の、そのまた東側にある。私の推測でしかないが、もう一つの理由は、地形に違いない。

 車内が伽藍堂になった都城行きは、国分駅を出るとトンネルの出入りを繰り返しながら、勢いよく坂を上り始めた。モータのやかましさが、坂の強さに比例しているかのようだ。トンネルで外がよく見えなくても、どういう線形を走っているのか手に取るようにわかる。

 ふと後ろを見ると、電車は山の中腹にいて、周りは木々が茂った山肌でしかなかった。そのはるか下に、かすかに平地が見える。もうこんな高さまで上ってきたのか、と驚嘆した。そしてここがどういう場所なのか、ようやく理解した。これこそが姶良大噴火が作り出した、かの有名なシラス台地である。

 約三万年前、今の姶良カルデラを源とする大噴火が起こり、その火山灰は日本全国に撒き散らされた。初めて関東地方の丹沢山地で見つかったこの火山灰は、丹沢軽石と呼ばれた。だが地質学の研究が進歩することで、実は丹沢軽石の起源は遠く離れた姶良であることが判明した。以後この火山灰は姶良丹沢火山灰、あるいは「丹沢」の読みをとって姶良Tn火山灰と呼ばれるようになった。

 一方姶良火山近傍では、大規模な火砕流が地表を覆い尽くした。これは入戸火砕流と呼ばれ、狭義ではこれが固まってできた地質を、シラスと呼ぶ。そしてそのシラスが形成した台地を総称して、シラス台地と呼んでいる。勿論これは地質学的な名称であって、地形学的にはただの台地であるから、地名を冠した台地に区分されている。今走っているのは、ちょうど姶良台地に当たる筈だ。シラス台地の地質学は非常に興味深い話なのだが、書いていると大変なので、竜ヶ水駅を訪れた際の記録に譲るとしよう。

 国分駅からシラス台地を怒涛の如く駆け上がったこの駅間は、私を九州の虜にした。久し振りに圧倒された感じがあったのだ。来てよかった、と列車に乗っているだけなのに思った。周りの人にはあまり理解してもらえない感覚だろうが。

 姶良台地の中にある霧島神宮駅は、一面二線の実に寂しい駅だ。だがこれでも特急きりしま号は停車する。名前の通り、天孫降臨で活躍する瓊瓊杵命を祀った霧島神宮の玄関口だが、バスに十分ほど乗らないと着かない。しかもそのバスの本数は少ない。何とも不憫な駅だが、外観は立派である。今回は改札を出なかったのが悔やまれる。
霧島神宮駅名標1_201803
霧島神宮駅名標2_201803

 列車は17:31頃到着し、特急きりしま15号と交換して17:40に出発する予定であった。だが特急がなかなか来ず、人気がなくて、曇天で陰鬱なホームをぶらつく羽目になった。今日はどうも特急の遅れに縁があるようだ。

 濃い灰色が印象的な787系電車の特急きりしま15号が停車するのを見届け、わが普通電車は都城に向けて走り出した。

 北俣駅を出てからシラス台地を軽やかに下り、都城盆地に入った。JTB時刻表で太字で書かれている財部駅は、人気がまるでなかった。県こそ違うが、都城市の郊外のような場所であるから、利用者は少ないらしい。

<<次回に続く>>
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こだま827号

Author:こだま827号
職業:大學生 醫學部醫學科
趣味:鉄道旅行、旅行記執筆、音楽、写真撮影、動画制作、醫學研究
好きな作家:宮脇俊三、笹沢左保、上野正彦
愛読書:JTB時刻表

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